甲状腺ホルモンが増えたり減ったりする甲状腺機能異常症は国内で790万人とされています。
甲状腺機能異常症には甲状腺中毒症と甲状腺機能低下症があり、その原因は多岐にわたります。
甲状腺中毒症
甲状腺中毒症とは、甲状腺ホルモンの過剰により、甲状腺ホルモンの作用が強くなった状態をいいます。これに対し、甲状腺機能亢進症とは甲状腺での甲状腺ホルモンの産生が亢進した状態をいいます。甲状腺中毒症は、甲状腺機能亢進症を伴うもの(バセドウ病、甲状腺ホルモン産生腫瘍など)と、伴わないもの(無痛性甲状腺炎、亜急性甲状腺炎など)に分けることができます。
甲状腺中毒症の症状
動悸がする、疲れやすい、体重が減る、手が震える、汗をかきやすい、いらいらして落ち着かないなどの症状がみられます。
また、バセドウ病では目が大きくなった・飛び出しているような気がするなどの症状を認めることがあります。
甲状腺機能低下症
一方、甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンの作用が低下する病気です。
甲状腺そのものが原因で起こる原発性甲状腺機能低下症、甲状腺に指令をおくる視床下部や下垂体の異常で起こる中枢性甲状腺機能低下症などに大別できます。
原発性甲状腺機能低下症の一つである、橋本病(慢性甲状腺炎)は甲状腺に対し自己抗体が産生され、甲状腺が破壊される病気です。橋本病はよくみられる病気で、その頻度は成人女性の10人に1人、成人男性の40人に1人と言われています。30-40代の女性に発症することが多いです。
しかし、実際に甲状腺ホルモンの補充が必要になるのは、橋本病の方の4-5人に1人未満と言われています。
甲状腺機能低下症の症状
疲れやすい、顔や手足がむくむ、肌がかさかさする、寒さに弱い、声がかすれる、便秘がひどい、元気がない
当院の診断・治療
当院では、血液検査(甲状腺ホルモン、自己抗体、腫瘍マーカーなど)と超音波検査で甲状腺の病気を診断します。甲状腺機能異常症は内服薬でコントロールできることがほとんどです。ただし、バセドウ病では放射線療法や手術が必要なこともあり、その際は専門病院にご紹介いたします。
また、甲状腺腫瘍の良性・悪性の診断には吸引針生検が最も信頼度の高い検査です。吸引針生検が必要な場合は専門病院へ紹介させていただきます。